前衛特化型ラケットSCUDの特集記事が
2021年ソフトテニスマガジン5月号(3月27日発売)に掲載!

男子ナショナルで
ミズノラケット使用率が急上昇!
選手に信頼される
モノづくりの秘密とは!?

前衛編

前衛の所属選手、九島一馬をはじめとして、現在、男子ナショナルチームでミズノラケット使用選手が増えている。
2018年発売のSCUD、DIOSがきっかけではあるが、どのような部分が支持されているのだろうか。
使用選手、開発担当者の大友隆行さんに聞いた。

取材◎福田達 写真◎毛受亮介、BBM

2018年7月、前衛向けシリーズ SCUDのコントロールタイプ C、後衛向けDIOSの反発タイプR が発売された。時間をかけたヒアリングにより、ユー ザーが求めるものは何かと徹底的に研究を重ね、前衛、後衛を突き詰めたラケットの誕生だった。そして、2019年3月には、それぞれの反対のタイプである SCUDのR(反発)、DIOSのC(コントロール)が発売されている。

「そもそも反発を高めるという発想はミズノラケットの強みでもあり、前シリーズの XYST (ジスト)の設計が役立っています。Rタイプで具体的にジストから継承したのはティアドロップ形状という上側が広い面形状。攻撃的にプレーするために少しでも先端にスイートスポットを持っていくことが反発タイプには必要だという理由からです。
そして、インナーラインヘッドというフレーム構造があります。ジストではハイパーストリングシステム、DIG フレームと呼んでいましたが、その設計を使い実際の面積よりもストリング面を広く加工することで反発を上げています。シャフト部は SCUDの共通機能として CタイプでデビューさせたMVシャフトを使い、弾きを高めながらも柔らかさを出して、しなりを生むような構造になっています」と開発担当の大友隆行さん。

手応えのあるラケットが発売されても、ユーザーの声は大切にしている。それはトップ選手だけでなく、さまざまな年齢層の志向の変化などを感じ取りたいからだ。そして、ラケットやストリングなどモノの進化と同様に、テニス自体もスピードアップされてきた。だから、個々のプレースタイルがラケット選びに影響することも分かっている。

例えば前衛には、ネットから近いところのボレーがプレーの中心で、操作性、面の安定性を重視して、相手の速いボールにも打ち負けないことを目指す選手がいれば、一方ではもう少し後ろの位置でローボレー、スマッシュ、レシーブを重視する選手がいるだろう。それぞれのタイプがラケットに望む性能も違うはずだ。
だから、2018年の発売当初、前衛モデルの SCUDはコントロールタイプだったが、その後に反発タイプを出している。まさに、使用選手の九島一馬選手やNTT西日本の長江光一選手など、幅広く動く選手には SCUDのRタイプが適しているのだ。


九島一馬[ミズノ]

九島一馬 [ミズノ]

SCUD PRO-R

「学生時代はネットプレーだけでよかったのでフレームだけで290gありました。今245gなのは、中間プレーが増えるなどいろ「いろなプレーをするようになり、ラケットが重いと反応が遅れてしまうからです。プレースタイルでラケットを選ぶ時代が来ているとも感じています。自分に足りない部分を補ってくれる。ミズノのいいモノ作りの根底のコンセプトです」
「現在の流れから言えばラケットは軽くなっています。そこは、ある程度限界があるのかなと思っていましたが、今はもう一歩越えたなという印象です」(開発担当・大友)

長江光一[NTT西日本]

長江光一 [NTT西日本]

SCUD 01-R

「一番は操作性と楽にボールを飛ばせることです。年齢も重ねて、学生時代とは身体の状態も違うので、ラケットに対する希望も変わってきます。しかも昨春はヒザを手術したこともあります。なるべくボールを飛ばしたいので、ストリングとの関係も含めて今の自分に適した長さ、重さをテストしていただきました。先入観なしに多くのラケットを試して、これが良いと思いました」
※特注の白ベースのデザインは長年のテニス界への貢献に対する敬意で、このカラーは発売されていない


「2018年当時は現在よりも雁行陣が多く、ネット近辺で戦う時間が圧倒的に長かったですが、その後ダブル フォワードのペアが増えて、試合展開でも中間プレーが多くなり、SCUDのRタイプのニーズも高まるわけです。自分自身も後ろからのストロークでも攻めたいので、そういう選択になりました」と話すのは九島選手。
今回のSCUD、DIOS のプロジェクトでは現役所属選手として大きな役割を演じている。日本代表、ナショナルの選手たちが賛同して、使用するようになる上で、こういう存在は大きいだろう。
「ラケットの性能は飛躍的に良くなっています。ナショナルでのシェアが上がっているのは一緒に作り上げている側面もあるからで、それが選手からの信頼感につながっていると思います。お互いに、もっと良いものを作りたいという気持ちがありますから」と九島選手。

また、開発担当の大友さんは SCUD、DIOS のコンセプト自体が受け入れられていると感じていると言う。
「声や数字を集めながら、ソフトテニスという競技自体が求めること、ユーザーの求めることを判断しながら進めていくのですが、ジスト、ディープインパクトなどはインパクトのある機能設計重視でしたが、SCUD、DIOS はよりユーザーに寄り添うのがコンセプト。その発売後、少し時間が経過して感じたのは一定の評価をいただいたのかなと。特徴的な機能を入れた場合、それを受け入れていただくこともありますが、もう少しこうしてほしかったという声も同じぐらいあります。今回は使いやすさにつながる評価をいただきましたので」

優れたもの作りを追求するだけでなく、そのために関わる人と人の信頼関係を築き、結果的にはそれがさらに良いものへと導いていく。単なる製品開発だけではない、進化する秘密を教えてもらった気がする。

鈴木琢巳 [福井県庁]

鈴木琢巳 [福井県庁]

SCUD PRO-R

(4月発売軽量スペックXサイズ)

「極限まで軽くしてもらいました。大学までは重いラケットでしたが、重いとラケットが先に出ないこともあります。その点、今のラケットは軽くて振り回せ、ボールさばきが良いです。自分はコントロールよりも、弾きを重視するタイプ。技術的にはスマッシュが得意なのですが、打球音が良いと乗っていけるというか、試合の流れをつかめるような気がするので重要視しています」

広岡宙[NTT西日本]

広岡宙 [NTT西日本]

SCUD PRO-R

(4月発売の軽量スペックXサイズ)

「シングルスもするので、ストロークもこだわります。軽いほうが自分の振りたいように振れるのが良いですし、できれば振り遅れないようにしたいので。同時にボレーの弾きも良かったので今回のラケットにしました。試合ではダブルスが中心ですが、NTTではダブル前衛で戦うことが多く、ボレーの弾きは重要なポイントです。それがこのラケットにした最終的な理由です」