新しい自分を発見して進化した、バレーボール女子日本代表のエーストリオ(1)

バレーボール女子日本代表は、常に世界のトップで争うことを期待されています。外国勢のスピードやパワーに対し、技術とチームワークで立ち向かい、中でも、アタッカーの古賀紗理那(NECレッドロケッツ)、石井優希(久光スプリングス)、黒後愛(東レアローズ)の3選手は、攻撃をけん引するキープレーヤーとして活躍しています。それぞれ、どのように困難を乗り越えてきたのか、現在の日本代表の強化にどうやって貢献しようとしているのか、話を聞きました。

3人に共通する困難の越え方は「自分の見方」の変化

――壁」を感じた瞬間と、それをどのように乗り越えてきたのか、教えて下さい。

古賀 : 私は、スパイクをなかなか決められなくて日本代表のメンバーから外れるという経験を何回もして来たので、その度に、それが壁だったかなと思います。特に、2016年の世界大会でメンバーから外されたときは、このままでは同じことを繰り返してしまうので、変わらなければいけないと思いました。それまでは、感覚だけでプレーしていた部分があったのですが、自分に足りなかったことを試合だけではなく毎回の練習でも分析するようにしました。そこで得た気づきを次につなげることで、今は試合で困ったときでも改善策が見えるようになりました。

黒後 : 社会人1年目は、高校時代とは違って素早いコンビバレーのテンポに苦しみました。対応できるようになったのは、2年目に日本代表の合宿に呼ばれるようになってから。やはり、トスに高さがないと、私は自分の持ち味であるパワーを発揮できないと気付き、速くて高いトスをセッターに要求できるようになって、改善できました。それまでは、「スパイクが決まったときのプレーが良いプレー」だと考えてしまっていたので、理想形をイメージできず、「自分の欲しいトスが分からない」と迷うことがありました。一人で考えたり、周りの人に見てもらったり、意見をもらったりして、良いトスは「決まったかどうか」ではなく「打ちやすいかどうか」で判断するようにして、あとは自分の工夫次第だと自信を持って取り組むことができるようになって、解決できるようになりました。

石井 : 私は元々、他人と比較して悲観してしまうことが多かったのですが、今は、マイナス思考から脱出できてきているかなと感じています。きっかけの一つは、所属チーム(久光スプリングス)を率いていた中田久美監督(現・女子日本代表監督)が「物は考えようだよ」と教えてくれたことです。3連覇がかかった2015年のVプレミアリーグのファイナルで、私は相手のサーブで狙われて上手くレシーブをできず、チームの攻撃に偏りが出て負けてしまいました。翌年はレギュラーラウンドだけで899本(リーグ最多)もサーブで狙われましたが、数をこなすにつれ試合の中で鍛えられました。「サーブレシーブが下手だから狙われている」と思っていたのですが、「相手は、私の攻撃力が嫌だから、狙ってきている。それなら、狙って来るのが分かっているのだから、上手く返せば困るのは相手の方だ」と前向きな気持ちで取り組めるようになりました。

シューズに対するこだわり

古賀 : どんどん進化して、特にシューズの底(接地面)で強い反発力を生むものが増えていますけど、私は、程よい反発力のものが好きです。反発力が強いと確かに大きく跳べるのですが、ジャンプを繰り返すうちに足が疲れてしまいます。硬い感触も嫌なので、試し履きをするときは、跳んでみるだけでなく、つま先立ちをしやすいかどうかも確認します。

石井 : 軽くてジャンプのしやすいシューズが好きです。ほかには、切り返しのフットワークが多いので、試し履きでは、底面でしっかりと止まれるかどうかを確認します。あと、私は、足の甲の骨が出ているので、中央でクロスさせないように紐の通し方を変えて結んでいたことがあります。かかとにあまり丸みがなくて抜けやすい部分もあって、インソールは、個人で作りに行くなど、よりフィットするように工夫しています。

黒後 : 私は、かかとの下の部分が高い(厚い)モデルが好きです。足首が硬くて可動域が狭いのですが、最初から靴の中でかかとが上がっている状態になるので、重心が前に乗りやすく、しゃがめる範囲が広がるというか、ディグ(スパイクレシーブ)の場面などで、一歩が出やすくなると感じます。

*2020年2月取材

JVA2021-04-006