スケートは人生。相乗効果をもたらす存在であり続けたい―前編

フィギュアスケート選手
宇野 昌磨 Shoma Uno(トヨタ自動車)

ありのままの自分を受け入れれば、ルーティーンは必要ない

4種類の4回転ジャンプを駆使し、2019年の四大陸選手権優勝や全日本選手権4連覇など、男子トップフィギュアスケーターとして活躍する宇野昌磨選手。自身の演技にプラスのシナジーを生み出す要因として挙げたのは、ライバル選手の存在でした。
「試合直前にライバル選手の演技を必ず見るようにしています。良い演技を見ると素直に嬉しい気持ちが生まれるし、こんなにレベルの高い選手と競っているという実感が自分の力になって、良い相乗効果が生まれるんですよ。人によっては緊張につながるのかもしれませんが、僕にとってはモチベーションアップにつながるなど、プラス要素が勝るんです」
一人ずつ演技をして、その演技に対して付けられる点数で勝敗を競うフィギュアスケートだけに「最大の敵は自分自身の中にある」と宇野選手。だからこそ、相乗効果をもたらす要因は自分自身以外の『誰か』であり、しかもそれは決して一人じゃない、とも。
「常に上をめざそうとする力と気力を僕に与え続けてくれる目標となる選手がいますし、年下の選手の中には自分より上手なところをたくさん備えている上、すでに素晴らしい実績を残している選手もいます。最近は、僕自身も彼らに相乗効果をもたらせる存在であり続けたい、そのためにはこれまで以上に努力を重ねなければならない、と考えるようになりました。置いていかれないように、本気で食らいついていかないと(笑)」
トップフィギュアスケーターとして、素晴らしい演技と勝利の両方を求められる立場だけに、プレッシャーも並大抵のものではないはず。そんなプレッシャーに打ち勝つ方法として、練習中や試合前にルーティーンや決めごとのようなものがあるのでしょうか。
「ルーティーンはありません。感情や出来事、気持ちの状態を無理に変えるのではなく、その瞬間のすべてを“必然”として受け入れるようにしています。試合以外のことが頭をよぎって集中できない時も、そんな自分をありのまま受け入れます。なぜなら起こるすべての出来事が、未来の自分の人生にとってプラスになる経験だと思っているから」