試合で4種類目の4回転ジャンプを成功させ、成長した姿を見せたい

フィギュアスケート選手
宇野 昌磨 Shoma Uno(トヨタ自動車)

常識を無視して『諦める』ことで成長を手に入れた

2019年7月にミズノブランドアンバサダーに就任した宇野昌磨選手は、2019年の四大陸選手権優勝や2017年と2018年のグランプリファイナル2位など、男子トップフィギュアスケーターとして活躍しています。今では3種類の4回転ジャンプを自在に操る宇野選手ですが、ジュニア選手としてのラストシーズンの頃、そのジャンプが高い壁として立ちはだかったといいます。
「トリプルアクセルという3回転半ジャンプは高い壁でした。当時、男子でも高難度のジャンプでしたが、練習を開始した頃は、がんばって練習を重ねればすぐ跳べると思っていました」
当時は同世代の選手よりも高難度のジャンプを跳ぶことができ、結果も出せていましたが、トリプルアクセルについては遅れて練習を始めた選手たちが次々に成功していっても自分だけは成功させることができませんでした。
「5年ぐらい跳べなくて…。5年もジャンプの成長がないとは思ってもいなかったし、その間も『絶対に跳ばなきゃならないジャンプだ』と言い聞かせて必死に練習していました」
でもある時、そんな高い壁を乗り越える画期的な方法を思いついた宇野選手。それは『諦める』という方法でした。
「トリプルアクセルは諦めて、先に4回転ジャンプの練習を始めたんです。ずっと、トリプルアクセルが跳べないと次には進めないと決めつけていた。でも、トリプルアクセルは自分に向いてないジャンプだから諦めよう、代わりに4回転の練習をがんばろう、と」
そしていざ4回転の練習を始めてみると、思いのほかあっけなく成功させてしまいました。
「4回転ジャンプが跳べた瞬間、嬉しさよりもこれまでの『跳べない重圧』から解放されました。その後は気楽にトリプルアクセルの練習を続けていたら良い方向に向かい、数週間後にはトリプルアクセルも跳べるようになりました。『諦めなければいつか』と思っていましたが、時には『諦める』ことも成長の手段になるんだな、と」

4回転ルッツという『成長』を手に入れるシーズンに

『練習の虫』や『努力家』と称される宇野選手ですが、決して自身を努力家だとは思っていないそうです。
「同世代の人が勉強する時間を自分はすべてスケートに使っているだけ。自分だけが特別な努力家ではありません。スケート以外の時間はゲームで遊んでるし(笑)」
さらに、オンとオフの境界線は特に意識しておらず、スケートの状態が日常に伝播することもあるとか。
「スケートがうまくいっていると何事も楽しく思えますが、うまくいってなかったらその逆。スケートの調子が良くない時、大好きなゲームの戦績も良くないですね。あまり感情を出さないと言われますが、実は感情の振れ幅が大きくて、その感情がいろいろな所に出るタイプ。なのにそう言われるのは、自分の感情の変化に疲れて、数十分もすると『なんであんなにイライラしたんだろう。もういいや』と普通に戻るからかな(笑)」
18-19年シーズンは初めて『成長よりも結果を出す』をテーマに取り組んだことで、まだ成長の余地があることを実感できたといいます。そこで、19-20年シーズンは再び『成長』を意識してスケートと向き合うつもりです。
「今は試合で3種類の4回転ジャンプを跳んでいます。さらに種類を増やそうとすると練習で4回転を跳ぶ回数も増え、さらにはケガのリスクも増やしてしまう。だから、4種類目となる4回転ルッツへの取り組みは控えていました。でもさらに成長するため、ケガを恐れずに4回転ルッツを試合で出せるよう練習するつもりです。今までよりケガのリスクを増やしてでも成長したい。そのぐらい成長意欲が高まっています」

REACH BEYOND ITEM

スマートフォン

「連絡しても返事がない」という家族の指示で2台持ち

氷上に出る時以外は、肌身離さないスマートフォン。いつどんな時もゲームができるという意味で欠かせないアイテムですが、手にしたらすぐゲームを始めてしまって電話に出ないことが多かったそう。現在は、連絡しても返事がないと怒る家族の要望でゲーム用と連絡用の2台持ちに。しかし、画面上に表示される通知文を読んで、心の中で返事をして終わりにしてしまい、実際に返事するのを忘れてしまうそう。「だから結局2台持ちしても怒られてますね(笑)」と宇野選手。