石崎選手加入のシナジーが、チームをさらに強くする

日本の女子カーリングチーム『ロコ・ソラーレ』は、2018年の平昌で3位に輝くなど、日本女子カーリング界を牽引する存在です。そんな彼女たちに、新たにリザーブ役の「フィフス」として石崎琴美選手が加入するという大きな変化がありました。今回は、チームメンバーの皆さんに、石崎選手の加入がメンバーそれぞれにもたらすシナジー(相乗効果)や2022年シーズンの目標をうかがいました。

石崎選手がもたらすのは『プラス1』じゃなく『プラス5つのシナジー』

――石崎選手がもたらすのは『プラス1』じゃなく『プラス5つのシナジー』

吉田知 : 琴美ちゃん(石崎選手)の最大の武器って、自身も幾多の世界大会出場経験を持っていること、世界のトップカーリングを解説者の視点から見ていたこと、そしてそれを日本のカーリングファンに伝える仕事をしていること、この3つを備えていることだと思います。特にロコ・ソラーレを客観的な視点で分析できることが、チームの大きな武器になっています。私たちに与える影響も含めると、単に一人の選手が加わる以上の『5つのシナジー』が生まれていますね。

鈴木 : 琴美ちゃんがすごいと思うのは、チーム内からチームを客観視ができるところ。しかも、何かを伝える時の言葉の選び方やタイミングが素晴らしい。言い過ぎないけど、大切なところはしっかり言ってくれる。その時の各メンバーに必要な言葉だったり、情報を的確に伝えてくれる能力が高いんです。これまでのロコ・ソラーレメンバーが持ち合わせていない力を提供してくれ、私たちもさらに成長できていると思います。

吉田夕 : 琴美ちゃんは、一度選手から離れる経験をしています。海外での試合でも解説者としてチームに帯同し、ずっと私たちを外から見てくれていました。その言葉は優しさにあふれている上、私たちの成長を願って伝えたいことがあればしっかり伝えてくれます。琴美ちゃんの加入で、改めてこのチームの伸びしろ、さらには新たに改善すべき点に気づかされたし、それで私たちもさらにやる気になった。そういう意味では大きな相乗効果が生まれています。

藤澤 : 琴美ちゃんの強みを生かすためにどう戦うか、どう戦えば彼女が入った時にロコ・ソラーレらしい戦いができるのかを皆で考えました。これを考えること自体がチームにとってプラスになったと思います。私たち、メンバー間のコミュニケーションも強みのひとつなのですが、もう何年も一緒に戦っているので意識することすらなかった。それが琴美ちゃんの加入で、改めて一つひとつのコミュニケーションの意味や理由を考えるようになりましたし、その意味や理由を言葉にして琴美ちゃんに伝える中でも発見がありました。これは今までにない相乗効果と言えるんじゃないかな。

――いろいろな相乗効果があるようですが、石崎選手ご自身はどんな相乗効果をもたらしたい、と考えていますか。

石崎 : ロコ・ソラーレは自他ともに認める完成されたチームなので、そこに入っていく不安や覚悟は必要でした。しかも、もともとロコ・ソラーレのフィフスは本橋さん。彼女の代わりに入るというプレッシャーも大きかったですね。チームにとっての私の存在意義は、みんなが言う通り、チームの外からの視点でチームを見られるところ。もちろん見守るだけじゃなく、言うべき時は言うぞ、という気持ちで臨んでいます。

常に伝え合うこと、そして挑戦する姿勢が刺激になる。

――チームの仲間のうち、誰のどんなアクションや考え方に刺激を受けていますか。

石崎 : (吉田)知那美さんは、一緒に初めてアイスの上でプレーした時に感じたのですが、すごく細かくコミュニケーションを取ってくれるんです。アイスの状況など、共有すべき情報を真っ先に口に出して伝えてくれます。これって簡単なようで、実はすごく難しいんです。しかも、劣勢な時も同じように冷静かつ的確に情報共有をしてくれるのが素晴らしい。これは並外れた精神力がないとできないこと。私も見習いたいです。

吉田夕 : さっちゃん(藤澤選手)ですね。2021年5月にミックスダブルス世界戦に参加したのですが、どうプレーしたら良いかわからなくなってパニックになりました(笑)。いつもならさっちゃんがずっとハウスに立ってくれて、幅もウエイトもアイスリーディングも指示してくれるから、その通りにプレーすれば良いだけなんです。さっちゃん、いつもありがとう(笑)

藤澤 : 私は小野寺コーチ(笑)。平昌のあと、チームコーチに加えてナショナルチームのコーチ資格を取得されたんです。60歳を超えてもなお新たなコーチ資格取得をめざす姿を見て、チャレンジに年齢は関係ないんだ、と刺激になりました。

夢を言葉にすれば、それは現実になる

――試合や練習の時、ルーティーンや決めごとはありますか。

鈴木 : これはチームの決めごとでもあるのですが、「試合中はネガティブなことを言わない!」ですね。私自身は試合中だけじゃなく、練習中や日常生活でも気をつけています。人は言葉に引っ張られるような気がしていて……。実は『言葉に引っ張られる』というのは、良い方でも感じているんです。ロコ・ソラーレって「それあり得ないじゃん」という目標を立てがちなんですが、言葉にしていると結構叶っちゃう。だから「言っちゃって良いんだ」と思うようにしています(笑)

吉田知 : 『ルーティーンは作らない』というのが私のルーティーンかな(笑)。無理に同じことをして自分をいつも同じ状態にしようと考えるのではなく、自分自身に今の状態を問いかけ、今の状態でできる最大限のことをやろうと意識しています。私の調子が悪くてもチームが勝つことはできるので、その時の自分の状態を理解して、必要なことを確認しながらベストを尽くすようにしています。これも10~20歳代の頃、あらゆる“ゲンかつぎ”やルーティーンを試してきた結果なんです。試して試して試しまくって『何も作らない』ところに辿り着きました(笑)

藤澤 : 海外転戦中はレンタルハウスを借り、チームメンバーで共同生活することが多いです。家に帰れない海外生活を快適に過ごすため、ごく自然に自分が得意なことを率先してやっています。ルーティーンではないですが、何となく決めごとのような役割分担がありますね。

――では最後に、2022年の目標を教えてください。

吉田夕 : 試合中も練習中も、常に成長し続けられる選手でいることです。

鈴木 : 自分史上最強の私になること、そしてチーム史上最強のチームになることです。

吉田知 : どんな時でも、どんな状況でも、助け合い続けるチームになることです。

藤澤 : はっきり言っちゃいます!世界一になること!(笑)