Brand History 山歩みちNo.029 ーブランドの肖像ー より

BERGTECH® EX ベルグテック® EX ストームセイバー レインスーツ 富士山着用率No1 Brand History 山歩みちNo.029 ーブランドの肖像ー より

ベルグテックがめざすもの

標高3776m。日本一高い富士山は年間約30万人の登山者が訪れる山である一方、地上に比べて、気温が約20度低く、天気の変化も激しい。このような高山の過酷な環境から外的に体を守るのが、レインウェアなどのシェルである。
実は、富士登山で使用される数あるシェルのなかで、もっとも着用されているのはベルグテックである。(※1)なぜか。 その機能性ついて着目する前に、レインウェアの機能性を知るための指標が大きく3つあることを復習しよう。外からの雨水を防ぐ能力を示す耐水性、衣服内のムレにくさを示す透湿性、そして耐久撥水性である。
いずれも数字が大きいほどよいが、一般的な登山に使用するのであれば最低でも、耐水圧は約10,000mm、透湿性は約10,000g/㎡/24hは必要だということを覚えておこう。
ここで、ベルグテックの数字を調べてみる。耐水圧は約30,000mm以上(※2)、透湿性約16,000g/㎡/24h(※3)と、登山には必要充分以上の数字である。注目は、耐久撥水性だ。多くのブランドでは、耐久撥水加工を施しているという表記はあるものの、具体的な数字はあまり見かけない。一般的な耐久撥水加工は、数十回程度の洗濯を経ても落ちないといわれているが、ベルグテックの場合、100回の洗濯を経た後でも、撥水性は変わらない点で、他社ブランドを大きく引き離している。

※1
2017年までの3年間以内に富士登山をした人の約38%がミズノレインウエア着用。インターネット調査調べ
※2
JIS-L1092高水圧法 準用
※3
JIS-L1099B-1法

一方で注目すべきは、その価格である。売価1万4500円でこれらの機能性を実現しているレインウェアはなかなか見当たらない。つまり、登山に必要充分以上の機能性を保ちながら、他社には追随できない価格を実現しているのが、ベルグテックの大きな強みだといえる。
「ミズノは野球用品から始まりました。プロはもちろんですが、野球を楽しむひと自体を増やすこと、スポーツの振興がミズノの事業理念であり、事実、創業当初から高校野球にも力を入れています。山登りもまた同様で、一部のトップアスリートだけに目を向けるのではなく、登山人口自体を増やすことも我々が果たすべき大切な役割と考えています。

登山人口を増やすためにメーカーとして考えられることは、おもに安全に登山を楽しむためのギアを開発していくことですが、例えばレインウェアを例にとると、いくら機能性が高いといっても、もし一着数万円もしたら、それが登山を始めるためのハードルになり得るでしょう。
 だとすれば、我々がめざすべき方向性は、安全登山のために必要充分な機能性を維持しつつも、ユーザーが求めやすい価格帯で提供することです。必然的に、登山者数自体が多いエントリー層に向けて作ることにもなるわけですが、そこで機能性をそいで価格目標を達成するのではなく、必要充分以上の機能性を実現し、最高の登山をサポートし、多くの登山者の信頼を得ることで、目標を実現するのが私たちミズノのやり方なのです。そうした努力の甲斐もあってか、富士登山に限らず、近年では、雨が多く富士山に比べて自然条件がより過酷な屋久島においても、多くのガイドに愛用されるようにもなりました」とはミズノ担当者の話。
 機能性と価格帯の絶妙なバランスのなかで生まれたベルグテック。次にみる製造過程を知れば、そのねらいと機能性について、より理解が深まることだろう。

ベルグテック素材の理念

BERGTECH-EX TECHNOLOGY

「多くの登山者に、安全に山登りを楽しんで欲しい」それが、ベルグテック開発チームの強い願いであった。しかし、この願いを実現するにはひとつのハードルがあった。製造コストと世界基準の変更時期の問題である。
「人口の多いエントリー層をねらい、生産数を増やすことも製造コストを抑える要素になりますが、毎年安定的に発注し、生産ラインを整備することも大切です。
また、安価な海外工場でなく、環境配慮型製品の認定基準を満たす、国内の製造委託先工場で生産を行っています」
しかし、近年、環境配慮に対する世界基準が大きく変わってきた。具体的には、撥水機能を維持するために使用する薬剤の法規制により、従来に比べ、撥水・撥油性能が低くなってしまうことなどが課題となったが、ミズノでは製造工場との技術協力により、従来に匹敵する機能性を持つ、新薬剤の生地への定着を実現したのである。
また、撥水機能は防水透湿機能を発揮させるための基本技術だが、もうひとつ大切な機能が着心地である。
「日本の気候は雨量も多く、湿気も多い。こうした地域では、ベルグテックのような3層構造(※1)が快適な着心地を実現するのですが、3層構造は当然、技術的にもコスト的にもハードルが高くなるのです」
これを実現したのが、乾式ラミネート技術(※2)であるが、それを実現できたのは、このプロジェクトに関わった人間の強い想い。
「ベルグテックユーザーに山でムレて嫌な思いをして欲しくない、私たちの想いはその一点に尽きます。じつはこの十数年、ベルグテックプロジェクトに関わったメンバーは自社、他社を問わず変わっていないのですが、そうした各人の強い想いがあったからこそ、価格と機能性の絶妙なバランスを実現できたプロジェクトだと、今にして思いますね」

※1
レインウェアには大きく2層、2.5層、3層構造の3種類がある。2層構造とは防水素材と透湿素材をラミネートしたもの。
2.5層とは2層素材の裏地にプリントをラミネートしたもの。3層構造は2層素材にトリコット素材などの裏地をラミネートし、湿気による不快感を軽減したものである。
※2
乾式ラミネート工程
ラミネートは透湿性防水機能を実現するための核心技術であり、また、着心地を大きく左右する大切な工程である。
以下に、ラミネートを大きく6工程に分けて説明しよう。

ベルグテックEX 乾式ラミネート工程

01. コーティング

ベルグテック素材は2種の溶剤に硬化剤を加え、
μm単位の薄膜を生成する。

コーティング

02. 乾燥/貼り合わせ

工程1で生成された薄膜と防水素材を
ラミネート(貼り合わせ)する。

乾燥/貼り合わせ

03. エージング

工程2でできた素材を撒きとり、温度約30度の
室内で48〜72時間ほど「熟成」させる。

エージング

04. 剥離

離型紙をはがしてベルグテック素材の完成。

05. 検査

目視によってシワや異常を確認する。

検査

06. 試験

JIS規格に準じた撥水機能と耐水圧を
専用機器で測定し、表示機能を満たしているか、
厳しくチェックされる。

試験
引用元:山歩みちNo.029 『ブランドの肖像』
文=山歩みち編集部
写真=大沢成二
取材協力=小松精練
取材日=2018年6月20日
山歩みち http://www.sanpoweb.net/

ベルグテックの歴史

HISTORY OF BERGTECH

1956年の誕生以来、アウトドアを愛する
多くの人々に支持され続けるブランド。

1956年の誕生以来、アウトドアを愛する多くの人々に支持され続けるブランド。

1956

1956

ミズノが登山用品の展開をスタートし、その後1966年にテント商品群のブランドとして「Berg」が誕生。「Berg」とはドイツ語で「山」を意味する。

1973

1973

本格登山までカバーできるキスリング型ザックのブランドとして「Berg」が一世を風靡。山の専門家からも多くの支持を集める。

1995

1995

キャンプブームの影に隠れ一時沈静化していた登山ブームが再来。「Berg」ブランドも息を吹き返す。発熱素材「ブレスサーモ」もこの頃に誕生。

2005

2005

ライトトレッキングに加え、トラベル&ウォーキングにシーンを拡大。自然と一体になる愉しい時間をサポートするブランドへ。