1992年バルセロナオリンピックの金メダリスト 古賀稔彦さんは「平成の三四郎」として有名な柔道家です。
現役を引退してからも谷本選手を金メダルに導くなど指導者としても大活躍中です。

■古賀先生との共同開発

古賀先生の現役時代からお付き合いのあるミズノですが、古賀先生が古賀塾を立ち上げるにあたり、「より子供にあった柔道衣を開発して欲しい」という要望がありました。
当時の少年用柔道衣は大人用の柔道衣とは別物で一重織りで「大人の柔道衣のサイズを小さくしただけ」の商品でした。
細部にこだわりはなく、各メーカーとも子供専用柔道衣の開発はほとんどありませんでした。


■勝つことを重視するあまり違反柔道衣が横行していた・・・

まず、古賀先生は当時のトップ選手達の「柔道」に疑問を感じていらっしゃいました。

1)柔道衣をわざと小さく作り、相手にもたさない
2)衿(えり)をわざと太く厚くして持ちにくくする
3)しっかり組んで技をかける本来の柔道をしていない

勝つために本来の柔道から逸脱していたのです。
現在では柔道衣のルールが改正されて衿は柔らかく、柔道衣の大きさもルール化されました。

しかし、2005年ごろはまだまだ違反柔道衣が横行していました。
(もちろんミズノは違反柔道衣なんて作っていませんでしたが)
古賀先生の現役時代や、それ以降も一本取る柔道よりも勝ちにこだわるがために、柔道の本来の姿が忘れかけられていたのです。


そこで古賀先生は未来の柔道家のために「しっかり組んで技をかけることができる子供達専用の柔道衣」を求めていたのです。

『正々堂々闘う柔道衣』がコンセプトでスタートした商品開発でしたが・・・
「大人の柔道衣の良い部分を活かした柔道衣ができないか?」
「子供の体型は様々だから、定番としてサイズを増やせないか?特にあんこ型
のタイプも別注でなく普通に購入できるようにならないか?」
「衿や帯の厚さや幅は全部同じでいいのか?」
「幼児達は帯がうまく結べないけど何とかならないのか?」
「なるべく軽くて柔らかい柔道衣はできないか?」
「大人の雰囲気を持たせた格好いい柔道衣がいい。日本代表みたいな」
「あんまり高くては駄目、子供はどんどん成長するから」


古賀先生から子供達のためにいろんなアイディアが溢れ出てきたのです。

■開発スタート

「大人用の柔道衣を子供用に落とし込み、子供専用の柔道衣に仕上げる」
単なるサイズダウンでは駄目。子供はいろんな体型がいて、いわゆる「豆タンク」と言われる太めの子供も多い。
成長期の子供達はすぐに大きくなり買い替えなければいけない。
ミズノの商品開発と現場担当者がタッグを組んで情報収集と商品開発が始まったのです。
まずは、日本代表選手が着用する「優勝シリーズ」のトップモデルのサイズダウンからスタート。
優勝シリーズで培った技術が細部に採用されているのです。

そこで、疑問が・・・
「低学年では、非力な子供も多い。握力が足りない子供達がしっかり組むためにはどうするべきか?」
古賀先生と相談の結果、しっかり組み合えるような仕様にしました。
今までにない判断でしたが、これにより非力な子供もしっかり組むことができるようになったのです。

そして、小さな子供達のことを考慮すると帯を結ぶことができない生徒が多く、低学年や幼児達には難題でした。
そこで90cmと100cm用には予め腰の後ろに帯を縫いつけて結びやすいようにして、自分でできるようになれば糸をほどいて普通に結べるようにしたのです。
また、ズボンも90~120cmはウエストゴムを入れてズレ落ちにくくしています。


-もっとサイズを増やせないか?

柔道衣にはB体やY体が存在しています。これはそれぞれ1サイズ太め・細めの設計のことで、選手用柔道衣にはほとんど定番として採用されています。
三四郎の適用年齢は幼児から小学生なのでどんどん成長する時期です。
それならば、Y体(細め)は作らず、太めのサイズを作ろう!ということに決めたのです。
どこまで必要か?答えは現場にある!と判断し、古賀塾や小学生の大会などで情報収集し「B2体」の作成を決めたのです。
これは大正解で現在でもB2体は確実に需要があり、父兄からは喜ばれています。

-生地は?

子供達は肌が弱いのでなるべくソフトな着心地がよいのですが耐久性はしっかり欲しい。一重織りでよい。二重は低学年には重くなる。試行錯誤しながら当時の開発者は生地になる糸探しから見直したのです。
三四郎は「ソフトな肌触り」と評価されています。実際に大人用の商品と比べると生地が一重という事もありますが軽くて柔らかい商品に仕上がっています。
これは古賀先生の要望に応えられたと自負しています。
柔道を始めた子供たちが「柔道衣が着たくなる」商品作りとしては成功しているのではないでしょうか。

-三四郎の題字は?

古賀先生の達筆ぶりは柔道界でも有名でした。古賀塾の看板も古賀先生の直筆です。
そこでミズノは古賀先生に三四郎と何枚か書いていただき、ロゴマークに使用しています。

発売から10年の月日を経て明かされる開発秘話はいかがだったでしょうか?

子供達の要望で二重織りの「三四郎Ⅱ」も2011年に発売を開始しました。小学校の低学年は一重織りで高学年になったら二重織りを使用する子供たちも増えました。三四郎は古賀先生とミズノの熱い思いで開発された少年・少女専用柔道衣です。みなさん、正々堂々と三四郎柔道衣で闘い、世界を目指して柔道を楽しみましょう!

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