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川瀬浩二

クラフトマン 川瀬浩二

profile

クラブの中でも微妙なフィーリングが要求されるパターのプロ販促を担当しており、製品開発にも携わる。

また自らもCNC切削加工機を操作して

ヘッド加工するマルチパフォーマンスを発揮。

フィッティングでも的確なアドバイスでユーザーからの信頼も厚い。


クラブって人が握るもの。やはり安心して使えないと。


「僕はいまヘッドを削る…いわゆるクラフトマンという職種に携わっていますが、そこに至るまでの経歴って、他の人とは少し違うんです」。開口一番そう語り始めたのは、現在ミズノで国内の若手プロをはじめ、アマチュア・学生のゴルフクラブづくりを手掛ける川瀬浩二。聞けば、入社当初はマスターヘッドをCADで設計、マシニングセンタで加工するなどの開発系の業務をメインに担当。ともすればクラフトマンと意見が激しく衝突してしまう側の人間だった。

「実際、当時、クラフトマンと意見が対立することはよくありました。CADって数値がはっきり出るじゃないですか。なのにクラフトマンは感覚でモノを語る。間違っていないはずなのに…と悶々としながら修正を加えたり。僕も人間ですから、正直面白くないと思うことはしょっちゅうありましたよ(笑)」。
しかし、いつしか自分自身が実際にヘッドを削り出すようになって、かつてクラフトマンからいわれ続けた言葉の意味が、少しずつ理解できるようになる。CADの画面上で見るヘッドと、人間の目で見たヘッドは明らかに違う。ここには肉が多すぎる、線のつながりが悪い…など、数値では測れない部分を目の当たりにして、日々驚きと戸惑いの連続だったという。「かといって、自分がイメージした通りにヘッドを仕上げるのは、それはもう至難の業で。とにかく最初は思ったところにペーパーが当たらない。先輩のクラフトマンたちは、いったいどんな手の動きをしているんだろう、と本当に不思議でした」。

川瀬が目標としたのは、クラフトルームの責任者でもある伊藤クラフトマンだ。川瀬によると、伊藤は自分がミズノに入社した頃から公私ともどもお世話になった先輩。紆余曲折を経ていま一緒に仕事できることが光栄であり、伊藤がヘッド研磨を始めると「思わず自分の手を止めて作業を見てしまう」ほどの存在であるという。ただし川瀬は、クラフトマンとして成長するには、単に技術の高さを磨くだけではいけない、とも力説する。
「ゴルフクラブって、それを使う人がいて初めて存在するもの。ですからゴルファーに安心して使ってもらえるものでないと意味がないと思うんです。そのためには、ヘッドを削る技術などは当然必要ですが、まず自分が人として相手に信頼してもらわないといけない。ましてや僕らは量産品と違って、オーダーした相手が見える仕事をしているのですから。技術はもちろん人間を磨くこと。信用できない人のつくるモノを、信用してくれる人なんていないでしょうしね」。

最後に、憧れである伊藤クラフトマンの域に自身はどこまで近づいたか、と少し意地悪な質問をすると、「まだ足元にも触れることができない」と照れくさそうに語った川瀬。いまなお精進の真っ最中です。そう謙遜しながらも、川瀬の目はクラフトマンとしての自信に満ち溢れていた。