2021.11.04.

ミズノのカーボン技術が、日本古来の武道に活かされている!?

先日公開したこちらの記事では、地球環境保全に一役買っている「カーボンニュートラル」の製品作りのための部材「トウプリプレグ」をご紹介しました。
今回は日本古来の競技「弓道」で使う道具に、ミズノのカーボン技術が一役買っているお話です。

さて、本題に入る前に「弓道」について簡単に学んでみましょう。

弓道

弓道は日本の武道ですが、剣道・柔道・空手に比べて正直なところ、なかなか身近な競技ではないような気がしませんか? 全日本弓道連盟の加盟数が135,403名(平成31年3月末日)でそのうち全国高等学校体育連盟弓道専門部(以下、高体連弓道専門部)に加盟している部員数は66,000人強。実は日本の弓道競技人口の約半分が高校生なんです。高校の部活で始める方が多いようです。『スキル的に周りの人と同じスタートラインから始められる』『武道を通して精神力が鍛えることが出来る』『先輩方の凛々しい道着姿にあこがれた』と言う感じの方が多いのでしょうか?
高体連弓道専門部の令和3年資料によると、全国では愛知県の登録校数が多いようです。次いで北海道になります。

<競技ルール>

近的 遠的
的までの距離/的の大きさ 28m / 直径36cm 60m / 直径1m
的中制 的に当たるか外れるかの的中数を持って順位を決定する。
得点制 的の中心を基にして円形に画かれた点数区分の場所(矢所)を持って得点とする。
団体戦 3~5人
一人の矢の本数 2本もしくは4本 ※奇数はありません

大会では「あたり」「はずれ」の的中数で順位を決定していますが 高校弓道では弓道場への入退場や矢を放つ動作全てを審査し 別途 技能優秀賞として表彰しています。 まさに「心・技・体」のスポーツです。

次に、ミズノと弓道の関わりについてお話します。弓道は見ておわかりの様に矢を放つ競技です。ミズノは肝心要の矢を「カーボン」で作っているのです。
ここからは、ミズノテクニクスの三島さんにお伺いしました。

ーー何故、ミズノが矢を作ることになったのですか?

三島:それは・・・ 社員に弓道経験者がいたからです

ーーえっ、そんな理由で!?

三島:そう思うでしょうが、本当なんです。今までやってこなかった領域のカーボン製造事業をやっていこうと決定した時に仲間で色々検討し、今までゴルフのシャフトやバドミントンラケットのフレームやシャフトも作っているので矢なら出来るだろうと。カーボン技術には自信があるので新たに参入することにしました。

ミズノテクニクス 三島さん
三島さんは仕事をきっかけに、自社の矢を自分でも評価が出来るようにしたい、弓道関連者と話をするには専門用語などの知識が必要と思い弓道教室に入られたそうです。

ーー弓道の弓は通常は何で出来ているのですか?

三島:矢は「竹製」から始まりましたが 加工上 手間がかかり現在は高額なものになっています。  昭和30年頃より弓道の普及とともに それが品不足気味になり、安価で好成績が残せる「ジュラルミン製」が登場します。現在は高校生(入門者)のほとんどはジュラルミン製を使用しています。次に「カーボン製」が登場します。

ーーカーボンにする利点は何ですか?

三島:カーボン製にすることで、同じ径でも軽くすることができます。そして、カーボンには振動減衰力が高いといった特徴があるので、うねりながら飛んでいく矢には適しています。

ーー振動減衰力って何ですか? サッパリ分からないのですが(笑)

三島:これを見てもらった分かりやすいかも。これは、同じ条件でカーボンとアルミ合金とステンレス鋼の板を弾いて、ブルブルと振動がおさまっていくスピードの違いが見られます。カーボンは直ぐに振動が止まるでしょ。この振動減衰力の高さが、矢のうねりの復元力に活かされるんです。

ーー矢がうねる?矢って、真っ直ぐに飛んでいくのではないのですか?

三島:弓道の矢はスローで見てみると、弓から放たれた瞬間、蛇のようにうねりながら飛んでいるんです。カーボンはこのうねりを早くおさえる特性があるので、その復元力を活かして“ビュンッ”と飛んでいくんです。私は元々弓道経験者ではないので、この辺の感覚を掴むために弓道教室に入門しました。

矢が、最初ブンッ、ブンッ、ってうねっているのが分かりますか!? カーボンはこのうねりを速く抑え、矢を真っ直ぐに戻してビュンッと飛ばしてくれるのです!

  • 矢

    従来の竹製を使用していた方からの要望に応え本物の竹シートを巻き付け加工したバンブーカーボン矢
    見た目、かなり竹っぽいですよ

  • 見た目にもカーボン製とわかるノーマルカーボン矢

単なるカーボンの棒に見えるかもしれませんが、ミズノが長年培ってきたカーボン技術を日本古来の競技 弓道の『矢』に搭載しています。伝統と最新技術の融合ですね。

そして、矢の製造で終わりではありません。実際に弓道の大会に足を運んで気になったところを放っておけないのがミズノなのです。

三島:大会会場で弓を壁に立てかけているのを見たんですが、1本倒れると次々に横の弓が倒れていくのを見ました。それと、何本もの矢を大会会場に持って行くのが大変そうで・・・。

そこで、開発したのが折りたたみ式の弓立と、一度に140本の矢を収納し持ち運べる矢筒です。
矢筒は、まさにゴルフキャディバッグや野球の試打用バットを運ぶ筒の応用品です! アイデアが広がります!

  • スタント、矢筒

弓立は分解し、弓立に吊るしてある収納袋に入れて持ち運べます。
矢筒にはキャスターも付いていて、持ち運び楽々です!

正弦

他にも、バドミントンやテニスのストリングの技術を活かし、弓道の弦も作っちゃいました。これは伸びにくく耐久性があり、なかなかの好評を得ているそうです。

他にも、個人用矢筒や野球グラブの残革(牛革)で作った握り革もあります。
https://www.mizuno-technics.co.jp/factory/yoro/kyudo.

ミズノの弓道品は、ミズノ品取り扱いの弓道具店にてお買い求めいただけます。

学生時代にやっていなかった方も、大人になってから趣味として弓道を始められる方もいらっしゃるようです。的中した時に「よし」と声をかけるだけの静かなスポーツですし、今の時代にも合ってるかもしれませんね。この記事を読まれて興味を持ってくれた方、始めてみませんか? そして、ミズノの矢にも触れてみてください。

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