スイングトレーサー解析例

小島監督と矢内教授のスイングトレーサー活用法

1:スイングトレーサーの使い方

Qスイングトレーサーは月一回ではなく定期的にデータ収集した方がいいですか?
矢内教授矢内教授のコメント
この選手の特徴は、ヘッドスピードがかなり高いことと、スイング時間が短いことです。スイング時間が短いと大体ヘッドスピードは遅くなるものですが、この選手の場合は短い時間でシャープに速いスピードでバットを振ることができる、というのが大きな特徴です。もうひとつ特徴的なのが、スイング軌道です。スイング軌道が5.7度。ほぼレベルスイングに近い、という値を示しています。これらを考え合わせますと、この選手の特徴は、鋭いライナー性の打球を放てる打者だと考えられます。
小島監督小島監督のコメント
このバッターは、スイングスピードが早くてスイング時間が短い、という理想的な数値を叩き出しています。また、スイング軌道がレベルであるために、ライナー性の打球が多くなり、長打が増えます。 さらに遠くへ飛ばすためには、スイングを少しアッパー気味の軌道に変えた方が良いかもしれません。
Q感覚の部分を指導するのは難しいと思うのですが…?
矢内教授矢内教授のコメント
コーチの指導を受けて、選手は自分なりに指導に合わせた動きをするように努力はするんですが、それが実際にできているか自分では分からない。実際はそれがうまくできていないことが多いんですよ。それを確認するのにこういう客観的な資料を使うのは非常に有用だと思います。
小島監督小島監督のコメント
まさに矢内先生のおっしゃった通りで、指導者の感覚と選手の感覚を一つにするのは難しく、そのためにも数値を共有化していくことが大事になっていくと思います。それから、スイングの軌道は目で見てはっきり分かりますので、自分がどういうスイングなのか自分で認識し、それが指導者の指導に近くなってるのかどうかが非常に大事なことだと思います。
Q木製バットと金属バットで数値的な違いはどの辺に出てきますか?
矢内教授矢内教授のコメント
金属バットは回転させやすい重さのバランスで構造的に作られているわけですから、ヘッドスピードの数値はおそらく高めに出るのではないかと思います。木製バットの方が重心が先端にあることが多かったりで、バットのタイプによって値は少し変わってきます。
小島監督小島監督のコメント
バットの変化で色々な数値が出るのは良く分かるんですけど、それよりプロ選手でどれくらいのスピードが出てるのか、ということを知るだけで良いと思うんですよね。ジャイアンツの阿部選手みたいなバッティングをするのであれば、阿部選手のような身体が必要であって、まず身体を鍛えないと、なかなかそこまでいかないですし。バットの違いによってヘッドスピードが変わることも多少あると思うんですが、それ以上に、この選手がどれぐらいのヘッドスピードを持っているのかを一つの目標とする使い方が良いんじゃないかなと思います。
Qこのデータで自分が目指すべきバッターのタイプというのが分かるのでしょうか?
矢内教授矢内教授のコメント
自分に似たタイプが有名選手の中でどういう方なのかっていうのは見ることはできると思います。ただ成長期の子供たちにとっては、自分の身体がどのように大人になっていくのか、背がもっと伸びるのか、より筋力が付いていくのか、その辺りは時間が経たなければ分かりませんし、またトレーニングの仕方によっても変わってくると思います。ですので、その時々で自己評価する項目の一つにそのプロ選手との比較があっていいと思います。ただ、それが最終的な目標になるかどうかはまた別の話だと思います。
小島監督小島監督のコメント
例えば「イチロー選手のようになりたい」と思っている選手に、指導者が「この選手は阿部選手のようなタイプだ」という指導をしたら、指導が合致しないケースが出てきますが、そこをどちらに合わせるかっていうために使うのも一つの方法だと思うんですよね。このタイプの選手だと決めつけるのではなく、どういう風に持っていけば良いのかを数値と、バットの軌跡を見ながら、あと身体特性と合わせて目標となる選手を決めていくのも一つの使い方だと思いますね。
Q野球の現場ではタブレットなどのIT技術が浸透しておらず、この手のものに拒否感を示す監督もいらっしゃると思うのですが、そういう方に何かメッセージがあれば。
矢内教授矢内教授のコメント
統計とか、こういう分析とかは今まで野球界の中で取り上げられてないわけではありませんが、非常に進歩していない分野だと思うんです。使えるものは使った方が良いし、使えるようにしなきゃいけないと。今まではあまりにも難しすぎたという現状があったのですが、これは測るだけでいろんな数値が出てきますし、簡単に計測できるという利点もあり、面倒臭さがないっていうのが現場にとって大きいと思いますね。色々な機材を用意してセッティンして測るんじゃなく、そのまま測れるっていうのは指導者にとって一番ありがたいと思いますし、やはり導入すべきだと思いますね。

2:各機能の活用方法について

Qいろんなコースを設定できるので、苦手なコースを集中的にトレーニングするのも良い活用方法になりませんか?
矢内教授矢内教授のコメント
そうですね。コースや高さによってスイングの軌道が変わりますので、それを自分で評価して数値確認しながら自分の理想に近づいているかをチェックできると思います。
小島監督小島監督のコメント
バッティングフォームそのものは、インコース・アウトコースと打ち方はそんなに変わらないんですけど、腕の使い方などをを少し変えないと各コースに対応できませんし、それぞれで数値もバットの角度も変わってきますので、一つの指標としてしっかり数値化することも非常に大事だと思います。
Q自分の過去のスイングや、チーム内・プロ選手とのスイング比較もできますが、この機能をどう思われますか?
矢内教授矢内教授のコメント
数値的な注意点をお話ししますが、実際にボールを打てばその衝撃でバットの勢いは落ちますから、必ずインパクトの瞬間にバットスピードが一番速くなります。でも素振りではボールのインパクトがなく、しばらくバットが加速しますので、素振りの方がスイング速度が速く計測されることがあります。この点を知った上で数値を用いることが大切かと思います。
小島監督小島監督のコメント
他人とのスイング比較は大事なことですが、体力の差というのがありますので、どちらかというと過去の記録を上回れるように…という目標設定や、自分の成長への向上心を焚き付ける使い方の方が良い気がします。
Q素振りの回数やスイングスピードも計測できますが、素振りをする時にどんなことを意識して練習すれば良いですか?
矢内教授矢内教授のコメント
数値的な注意点をお話ししますが、実際にボールを打てばその衝撃でバットの勢いは落ちますから、必ずインパクトの瞬間にバットスピードが一番速くなります。でも素振りではボールのインパクトがなく、しばらくバットが加速しますので、素振りの方がスイング速度が速く計測されることがあります。この点を知った上で数値を用いることが大切かと思います。
小島監督小島監督のコメント
日頃のスイングと実際の打撃はやはり違います。ただ、日頃のスイングの中でどれくらい自分の力が発揮できて振れているのかを見ておかないといけません。120%での素振りはやるべきであって、力を抜いて振るものではないと。それでいかにスイングスピードを上げていくか…に目標を持ってスイングするのは非常に大事です。
Q置きティーと投げティーと、両方計測できますが、それぞれどのような特徴がありますか?
矢内教授矢内教授のコメント
置きティーの場合は選手が自分のタイミングで、自分の都合のいいように打つことができる。時間的な拘束が全くないというのが一番の特徴です。投げティーの場合は、ボールのスピード・コースによって、リアクティブにいかなければなりません。この違いによって、スイング時間・ヘッドスピードに少しの変化が現れます。それも自分で計測して自分で知りながら分析していくと良いんじゃないかと思います。
Qバットの軌道を360度回転させてチェックできる機能もありますが、それについてはどうでしょう?
矢内教授矢内教授のコメント
選手にとってスイングの軌道って、非常に興味あるポイントになっていますので、それを確認するという意味で、非常にアトラクティブな機能だと思います。
小島監督小島監督のコメント
現場で使う時には一方向からのビデオ撮影が大体主流なんですよね。実際にバットの軌道がどう出てるのかはなかなかビデオでは見えない所で。それが軌跡となって出てくるということは、もう指導者にとってみれば指導上やりやすいというポイントがあると思いますね。

3:トレーニングでのポイント

Q100の力で打つより80の力で打った方が良いという話も聞きますが?
矢内教授矢内教授のコメント
それも人によって感覚が違うと思いますので、実際にデータを取りながら、自分の感覚の中で100%、120%、80%といろんな力の入れ具合で振ってみて、実際にヘッドスピードが一番速いのはどれか、スイング時間が一番短くなるのはどれか…を考えながらデータを活用するのも一つの活用方法ではないかと思います。
小島監督小島監督のコメント
練習の時はできる限り100%とか120%という力で練習して、ゲームになった瞬間に力を抜くことを覚えていくことが非常に大事だと思います。どうしても練習の時に力を抜いていると、ゲームの時に力が入りすぎる傾向にあるので、いかに自分の100%を知るかが非常に大事になってくると思います。
Q打ち損じを減らすために、事前にやっておかないといけない練習などはありますか?
矢内教授矢内教授のコメント
再現性を高く振るというんですかね、同じコースにきたボールには同じスイング軌道で、同じスピードで振れるようにしていく。先ほど小島監督がおっしゃられたように、全力で振った上で、それくらい高い再現性を獲得しておく。これは非常に難しいことですが、ぜひトライしていただきたい点だと思います。
小島監督小島監督のコメント
打率の向上を図る上では、同じフォームで何回同じスイングができるか、だと思うんです。できる限りデータの計測値が一定になるように振るのが非常に大事になってくる。そのためには体力がやはり大事になりますし、もう一つはフォームも大事になってきます。もちろん両方追っていくべきですので、その数値目標をしっかり自分の頭の中に叩き込んでおくことが大事だと思います。
Qバッティングの対応力を高めるためにするべきトレーニングはありますか?
矢内教授矢内教授のコメント
一つのアイデアですが、例えば投げティーで投げたボールを打つ時に、投げ手がスピードを変えるとか、タイミングを変えるとか、それに正確に反応してなおかつ芯に当てるという練習を取り入れるのも良いかと思います。
小島監督小島監督のコメント
バッティングの中で一番重要視しないといけないのは、やはり下半身の使い方なんですね。下半身の動きをまず覚えるのが非常に大事で、下半身を重心とした回転のスピーsドで打つことをテクニックとして覚えないと安定した打撃ができない傾向にあります。その意味では、下半身の使い方を習得することにまず着眼していただければと思います。
Qつねに良い数字を出し続けるためには日々の練習しかないですか?
小島監督小島監督のコメント
意識してやれる範囲から、無意識の内にやれる範囲に変えていく必要があると。そのためにはやはり反復しかないと思います。練習は遠回りかもしれませんけれども近回りはない、反復以外に練習方法はないわけですね。ただその反復を正しい練習でやらないと誤ったフォームを身につけてしまいますから、まずは技術の正しさをしっかり知ること、基本となるものをしっかり反復練習する部分から始めるべきだと思います。
Q体幹トレーニングは重要ですか?
小島監督小島監督のコメント
回転って何かを中心に回ることですから、体幹が弱いと回転軸って生まれないんですね。ですから当然体幹トレーニングもするべきですし、二の腕の力も必要になってくるし、足の力も必要になってくる。体幹トレーニングだけでバッティングが向上するかというと、そうではないと。ただ、少なくとも体幹がしっかりしていないと回転は生まれないってことだけは良く知っておかないといけないですね。
Q調子管理という使い方をする時、何日おきに測ると調子の変動が分かりやすく修正しやすいでしょうか?
矢内教授矢内教授のコメント
頻繁に測りすぎて測りすぎる、ということはないと考えます。毎日じゃなくても良いんですが、同じ条件で計測することが非常に大切だと思います。例えば、ある時はウォーミングアップをしっかりした後で測り、ある時はそれを全くなしで測るとか、ある時は練習して疲れきった後に測ると、それぞれ身体の調子が違うので異なった値が出る可能性がありますので、同じコンディションで測ることが大切かと思います。
小島監督小島監督のコメント
計測を日々やることにまず意義があって。特に中高生は野球ノートみたいなのを付けてると思うんですけど、そこにこのスイングスピードとかスイング時間の記載項目があると、一つの励みになりますよね。これが一番大きいんじゃないかなと思います。明日練習したい。明日練習しようという向上心が生まれると思うんですね。そんな使い方も一つの良い案なのかなと思いますね。