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ミズノトラッククラブ(MTC)

ミズノアスリート


アスレティックトレーナー曽我武史発 コンディショニングアドバイス
Vol.8 2005年12月6日

「オーバートレーニング」


 こんにちは、アスレティックトレーナーの曽我です。この時期になると、みなさんのカラダは冬期トレーニングに慣れてきたころかな?さて、こんな時期だからこそカラダの異変にも注意しなくてはいけません。そこで、今回はオーバートレーニングについて話をしていきましょう。
「オーバートレーニング」って聞いたことありますか?文字から想像するとトレーニングのやりすぎ?って思いますよね。それは、間違いではありません。簡単に説明するとトレーニングと休息のバランスが取れていないことによって起きる、競技能力が低下したり、慢性的な疲労感があったりする状態を指します。いわゆる過労の状態です。

 どうしてオーバートレーニングになるのか?トレーニング負荷を増やすことによって起こりうるオーバートレーニングの要因は、以下のようなモノが考えられます。
(1)短い時間で多くの種目をやりすぎる
(2)練習強度が高く、頻度も多すぎる
(3)トレーニング時間が長すぎる

 トップ選手でも練習強度が高すぎて一回の練習に多くのメニューがありすぎることが一番多い原因のようです。ここで問題になるのは回復する時間です。これがないと回復しきれずにまた次の負荷がかかり、疲労困憊のままでトレーニングを続けていってしまうのです。気がつくとオーバーワークになり、練習効果も現れず、やる気も失せてしまうことになるのです。

オーバートレーニングの徴候
初期≫ 原因不明の競技成績の低下(トレーニング効果の低下)
進むと≫ 無気力、倦怠感、体重減少、睡眠障害(過度の睡眠や眠れない)、集中力の欠如など
他には≫ 起床時の心拍数の変化(増加)、運動時の心拍数の変化(運動後の回復の遅延)、傷の治りが遅い、性欲減少、無月経
さらには≫ うつ病に似た精神異常状態になることもある

 疲労症状との関連性を強く認めるのは、疲労症状の高まりと平行して起床時の心拍数が増加すると言われています。(10拍以上の増加/1分間)
簡単な指標としては、運動トレーニングに対する心拍数反応、体重の変動、食欲低下、疲労感、今まで楽にこなせていた練習がきついなどの自覚症状に注意してチェックしておくことがポイントです。

<オーバートレーニングの進行>
第一段階≫ 『負荷の掛けすぎ』
通常、トレーニングの負荷は段階を追って上げていきます。ここで大事なのは、トレーニング負荷を増やしていくことに慣れていくことです。当然慣れていくので、そのつど状況(目標)に応じて負荷・メニューを変えていきます。そして、もう1つ大事ものがあります。それは"休息"です。
ここで注意が必要になります。この段階のカラダの感触(やっている本人)は、短期間で疲労が回復してくるのが普通です。しかし、時としてカラダが"良い感覚"を感じる。言葉を変えるとトレーニング効果を感じてきてカラダが不思議なぐらい動く、力をだせるようになることがあります。この感覚をどう判断するのかが難しいのです。・・・目安は、回復具合です。やろうと思えば出来てしまうのもこの段階での特徴です。

第二段階≫ 『能力以上にやりすぎ・・・』
今までよりも強いトレーニング負荷で2週間ほどトレーニングをします。そしてさらに強度を高めてトレーニング期間を延長するとなぜか?自分のパフォーマンスが下がってくる(落ちてくるという)現象が起きます。この時点で休養をとれば良いのですが、そのまま続けてしまうと第3段階へ進んでいきます。ちなみに、この段階のような状態になりやすいのは、試合前などで気持ちが高ぶっている時が多いようです。なんとなくやれてしまうんです。第一段階に比べて疲労が抜け難くなっていますが、2〜3日も休めば回復してきます。
ここからは、本当のオーバートレーニング症候群の状態です。ここでは、疲労は慢性化しているので自分では良くわからないことがほとんどです。症状としては、常に疲労感が抜けず、朝起きても疲れているのを感じている状態が続き、さらに学校に行っても疲労感が抜けていないので一日中疲労感と戦うこともあります。さらに、人によっては睡眠障害が起きることもあります。

<オーバートレーニングに陥らないようにするには・・・>
選手のみなさんは、常に競技力を上げるためにトレーニングを頑張っています。ここで重要なのは、頑張ってはいけないのではなく、頑張った分、休養(休息・回復)をする時間をカラダに与えてあげることです。わかりやすい過労の徴候としては、質の良い睡眠(ぐっすり眠れる)が取れなかったり、筋肉痛が全然抜けない状態が長期間に渡って続いたりする。こうなってくると危険信号です。
まずは、2〜3日の完全休養をとりましょう。そして、徐々に軽い負荷のトレーニングから始めていきましょう。それでも上手くいかない場合には、もう少し休養(完全休養)を取ることをオススメします。ひどい場合には1ヶ月以上(5〜8週間)も休んでようやく回復してくるなんてこともありますからね。こうなってしまうと今までやってきたトレーニング効果はすっかり消えてしまっていて、始めるにはまた一からやらなくてはいけなくなります。それでは、あまりにも悲しいですよね。
休息(回復するための時間も)も立派なトレーニングの1つです。無理しすぎないで、自分のカラダとよく対話してトレーニングを進めていきましょう!

 
曽我武史 
(ミズノトラッククラブ専属トレーナー)
1971年11月2日生まれ
日本体育大学体育学部健康学科卒・日本鍼灸理療専門学校夜間部本科卒
〈資格・認定〉
日本体育協会公認アスレティックトレーナー/ 日本陸上競技連盟医事委員会トレーナー部委員/ JOC強化スタッフトレーナー(陸上競技)/ 鍼師・灸師・按摩指圧マッサージ師
〈主な活動〉
バンコクアジア大会、エドモントン世界陸上、大阪東アジア大会、釜山アジア大会、パリ世界陸上、アテネオリンピック等に日本選手団トレーナーとして派遣される。
2001年よりミズノトラッククラブ専属トレーナーとして活動開始。


<バックナンバー>
Vol.13 コンディショニングや治療を行う際、 トレーナーとして選手に感じること
Vol.12 復習:ウォーミングアップとクールダウン
Vol.11 花粉症について
Vol.10 筋肉痛と肉離れ
Vol.9 まだまだ続く寒さと仲良く付き合う方法
Vol.8 オーバートレーニング
Vol.7 冬季トレーニングに向けて
Vol.6 質の良い睡眠のために
Vol.5 夏の暑さ対策
Vol.4 発育期の傷害
Vol.3 意識して欲しいシューズ選びのポイント
Vol.2 自分のカラダを知る!?自己管理
Vol.1 ウォーミングアップとクールダウンについて
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