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アテネ

2004/8/22
日本人初!投擲種目でのメダル獲得! 室伏広治

 ラストの投擲。室伏広治選手は落ち着いた表情でサークルに足を踏み込んだ。それまでマークした投擲の最高は4投目の82メートル35。 昨年の陸上・世界選手権2位のアヌシュ(ハンガリー)が83メートル19をマークしてトップに位置する中、室伏広治選手は観客席から湧き起こった手拍子を背に、言葉にならない雄叫びを上げながらハンマーを放った。

 大きな放物線を描くハンマーの行方を最後まで見届けると、手ごたえを感じたかのように、両拳を握り締めて飛び上がった。電光掲示板に映し出された数字は82メートル91。アヌシュの記録に28センチ及ばなかったが、今季の自己最高記録を打ち出して2位となり、銀メダルを獲得した。

 室伏広治選手は「6投目は逆転した感じはあったが、もうちょっとのところだった。最後はたくさんのみなさんに支えてもらっているというエネルギーで投げた」と最後の投擲を振り返った。

 決勝はスタートからいきなり80メートル53を出したアヌシュと、投擲を重ねるごとに数字を上げる室伏広治選手との一騎打ちとなった。
 最後の投擲を迎えるにあたり、室伏選手はグラウンドに仰向けになると天を見つめて、「精神を集中して気持ちを抑え、頭を真っ白にして自分の投擲を心がけた」と集中力を高めていた。まさにラストの投擲は全神経を集約させた賜物だった。
 「スピードにかけた動きはそれまでなかったが、ようやく最後で回転があってきた」と室伏重信コーチもラストの投擲を称えた。
 室伏広治選手は今大会を迎えるにあたり、昨年12月から5度に渡って単独渡米し、かねてから親交のあったアトランタ五輪の銀メダリスト・ランスディール氏の紹介でランスディール氏の恩師であるアメリカ代表チームのスチュアート・トーガーコーチの教えを仰いだ。

 室伏広治選手はスチュアート・トーガーコーチのことを「ハンマーに対して常に情熱があり、リリースの初速やハンマーの型などすごく研究している」と親しい関係者に話すほど刺激を受け、その経験を自身のハンマー人生に還元している最中にある。
 そんな室伏広治選手の勉強熱心な姿を見て、はこういったという。
 「室伏広治選手は肉体的にも技術的にもすぐれているが、一番優れているのは、『新しいものを求める気持ち』だ。すでに、彼は世界のトップアスリートの域にあるにもかかわらず、人の話をよく聞き、吸収力が素晴らしい」

 世界のトップと張り合える力を持ちながらも謙虚さを失わない。それが室伏広治選手の強さの源なのだろう。

 また、室伏重信コーチも「世界選手権とアテネ五輪と2大会連続でメダルをとったということは、世界に通ずる実力があるということ。あとはタイトルを取ることが大きな目標になる。動きの面でまだ、伸びてくると思う」と室伏広治選手の更なる飛躍に期待を寄せた。

 ひとつの勝負は終わった。
 そして、室伏広治選手は、何か新しい発見を求めて、アテネの地を経由してヘルシンキ、そして、北京へと向かっていく。

レポート:槇野 仁子


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