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Interview : Shigeyuki Kunii of mita sneakers Vol.1

ブランドのルーツは勿論のこと、プロダクトの生まれた時代背景までを熟知し、スニーカーシーンにおけるご意見番として世界でその名を馳せる『mita sneakers』の「国井栄之」。スポーツブランドとしてのイメージが強いMIZUNOにおいて、ライフスタイル部門としてスニーカーシーンへ本格参入を図るMIZUNO1906が世界最高峰の審美眼にかなうかどうかが今後を占う一つの指針となることは言うまでもない。そんな国井氏のお膝元、上野を訪れ、MIZUNO1906の発足当時には語られなかったエピソードや、これから始まる取り組みについてざっくばらんにインタビュー形式で語っていただいた。

- まずはじめにMIZUNOの印象をお聞かせください

日本人でMIZUNOを知らない人は誰もいないと思うんですけど、日本発のスポーツブランドの中で近いようで一番遠いブランドという印象です。僕自身が幼少期に野球をやっていたので、そのイメージが強いですね。世界でも名が通っているプレーヤーがMIZUNOのバットやグローブを愛用しているし、スポーツブランドの中でもスポーツ用具を作っているブランドという印象が強いです。

- MIZUNO1906が立ち上がったタイミングでコレクションをご覧いただきました

80年代にリリースされていたモデルを復刻しているという話で拝見したのですが、ツーリング自体が現代風にアップデートされていて、その当時は全く興味が湧かなかったのが正直なところです。

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- そこから少し時間が経って、今年からいよいよ取り組みがスタートします

実際、その当時は断ったんですけど、その後にMIZUNO1906しかり、パフォーマンスモデルしかり、ハイブリッドモデルしかり全部一通り履いたんですよね。他のグローバルブランドや日本のブランドと比較をしても、やっぱりモノ作りに対するアイデンティティが違うんだなって体感しました。その後も取り扱うまでに至っていなかったんですが、MIZUNO1906の日本チームの方達にお店に通っていただいて、コミュニケーションをとる事が増えて、“じゃあ今のMIZUNOに何を求めているの?”という話になって。

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ブランド側から“これがうちのアーカイブですとか、ヘリテージです”って提案するものって、その時代を通っていない人からしたら単なる昔話になってしまう。例えば現在進行形の機能だったり、アイコニックなモデルだったり、なにか現在のシーンとの結びつきが無いと、単なる“ヘリテージ”の押し付けになってしまう。その中で言えば『MIZUNOウエーブ』っていう独自のソールは僕でも知っていたぐらいだし、その機能を搭載した長年続いてるシリーズで『ウエーブライダー』というモデルがあって。当時のカタログを見せていただいたんですよね。単純にウエーブライダーのコンセプトや進化の歴史に惹かれたんです。現在進行形のプロダクトあり、アイコニックなテクノロジーを搭載しているモデルをこのプロジェクトには求めていたので。それからそのモデルの復刻に向けて動き出しましょうっていう話になって、どんどん進んでいった感じですかね。これまでのMIZUNO1906とは一線を画した形でリスタートが切れるというのも魅力的で、MIZUNOのヨーロッパチームが本格的に動き出したタイミングだったのも大きな要因です。ヨーロッパチームには過去に他ブランドで一緒にプロジェクトをしていた人がいたり、スニーカーショップの共通の友人だったり。たまたまInstagramを通じてMIZUNOのシューズのスケッチを見ていたのですが、“こんな人いるんだ海外で”とか思っていたら、それがMIZUNOのヨーロッパチームのデザイナーだったりと何かと縁があって。

間接的にも、直接的にも、結構知っている人たちがガッチリ固まっていたので、日本チームともしっかりコミュニケーションを取れるようになったし、これだったらみんなで同じベクトルでモノ作りができるなって思って。一気に物事が動き出したかんじですかね。

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- 昨今のスニーカーシーンにおいて、海外でのバズというのはポジションを確立するための必須条件になっているのか

インターネット、SNSがここまで普及して、タイムラインというか、バズが起きるタイミングが同時なんですよね。日本国内で東京、大阪、九州で注目されているものが大きくは変わらないように、世界どこをみても購買層が求めているものに差を感じなくなりました。スニーカーって世界共通だと思っているのは、洋服とかってサイジングの問題ってあると思うんですけど、スニーカーは縦寸だけで世界共通なんですよね。インターネットを媒介してグローバル規模で連動してトレンドが移り行く時代の中で、ローカルだけで完結してしまうのはナンセンスだと思っています。今回MIZUNOがヨーロッパチームと連動して物事を動かせるということは、日本チームにとってメリットがあるし、ヨーロッパチームにもメリットがあると思います。

日本人は灯台下暗しになってしまっている部分が多くて、良くも悪くもMIZUNOというブランドがポピュラーであるが故に、みんなそれぞれのMIZUNO像を持っていると思うんですよね。多くは学生の頃に履いていたとか、スポーツで使用していた人にはそのイメージが鮮烈に刻まれている。みんなの中でどこかタウンユースとしてのイメージからはかけ離れていて。でも海外ではフラットな視点でMIZUNOを見ていて、ライフスタイル、ファッションだったり、カルチャーだったりと少し角度が変わるだけで、MIZUNOのイメージが変わっていく。そういった意味では、グローバル連動で物事を動かすっていうのはすごくメリットがあると思います。

Vol.2へと続く

mizuno_sportstyle_jp

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