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| 「自分のプレースタイルは?」をキーワードに、フットサルプレーヤーがデザイン性だけでなく、機能性で自分のプレースタイルに合ったシューズを選ぶ時代になってきた。自らもフットサルプレーヤーである、ミズノの山口昌利(ヤマグチマサトシ:アスレティック事業部マーケティング部)は、年々増加しているフットサルプレーヤーの欲求をそのように感じていた。そして、「そのフットサルのプレースタイルは、大きく2つに大別することが出来るのでは?」と考えていたのである。 |
ひとつはテクニック系。
フットサル特有の足裏でのボールコントールや、細かなフェイントを駆使したドリブルを得意とするプレーヤーで、ループパスなどのトリッキーなプレーで観衆に「魅せる」ことを楽しむのが身上。ポジションでみると、アラ(「ダイヤモンド型」でいう、中盤両サイドのポジション)で活躍する選手が多い。
もうひとつはパワー系。
細かなテクニックよりも身体能力で相手を凌駕するタイプで、ひとつのフェイントで相手をかわし強烈なシュートをゴールに叩き込むようなプレーヤー。ポジション的には、ピヴォ(「ダイヤモンド型」でいう、最前線のポジション)やベッキ(「ダイヤモンド型」でいう、底のポジション/フィクソとも言う)に多く、パワープレー時にゴレイロ(フットサルにおけるゴールキーパー)としてロングシュートを決めてしまうようなタイプ。 |
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| 山口昌利/ミズノ(株)アスレティック事業部 |
山口談:
ミズノでは、プレーヤーのプレースタイルに合った商品選びが出来るようにフットサルシューズを開発してきました。
テクニック系プレーヤーには、ランサメントウエーブシリーズ。
パワー系プレーヤーにはウエーブグレヴィスタシリーズ。 というように。。。
基本的にフットサルという競技は、公式戦を体育館(床)やスポーツコートで行います。もちろんフットサルシューズはそういったコートに適したソールで作られているため、ほとんどがフラットタイプのソール(競技面と接するシューズの底部分が平らなもの)でした。ところが、近年急増しているフットサルコートを見てみると、圧倒的に毛足の長いロングパイル人工芝のピッチが多いのではないでしょうか?
それに対して、何か変化が起こっているのでは?と感じたことがはじまりでした。フットサルプレーヤー達がどのように対応しているのか?どのような変化が起こっているのか?レベルの高低問わず全国各地のフットサル会場へ足を運んで調査を実施しました。
その結果、関東リーグや他の地域リーグで活躍するトッププレーヤーを除くと、ほとんどのフットサル愛好者はロングパイル人工芝でプレーする機会が多いことが分かりました。さらにトッププレーヤーも、普段の練習やビギナー向けのスクールでフットサルを教える場合にはロングパイル人工芝でプレーしていることが分かったのです。
では、ロングパイル人工芝でプレーするフットサル愛好者たちはどんなシューズを履いていたのでしょうか?大半のプレーヤーは滑りが気になりつつも従来のフラットタイプのソールのフットサルシューズを履いていたり、滑らないようにサッカーのトレーニングシューズ(マルチスタッドタイプ)でプレーしていたのです。以前から人工芝のコートはありましたが、それは毛足の短いショートパイルタイプの人工芝が主流で、フットサルシューズに多く見られるフラットタイプのソールでも大きな問題はありませんでした。それがロングパイル人工芝コートの急増により従来のフラットタイプのソールでは「滑る」との声が多く聞かれたのです。
そこで、ミズノが考えるプレースタイル別のフットサルシューズに、新たな軸を加えることになりました。そうです。人工芝対応モデル。その中でも特にロングパイル人工芝にも対応した商品の開発が始まったのです。
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山口からの提案をうけて、「人工芝の中でも特に滑りやすいロングパイル人工芝においてプレーするプレーヤーにとって、どのようなシューズが良いのだろう?」と考えた一人の開発者がいた。ミズノの桑原拓郎(クワバラタクロウ:技術開発部フットウェア開発課)は、まずプレーヤー心理を考えた。
「フットサルとは、基本的に体育館やスポーツコートでプレーする競技であり、プレーヤーも一度はその場所でプレーした事があるはず。
ということはプレーヤーは、非常にグリップする競技面である体育館やスポーツコートの感覚を覚えているはずである。では、その感覚のままロングパイル人工芝でプレーしたらどうなってしまうのか?」
プレーヤーは、非常にグリップする体育館やスポーツコートの感覚のままプレーするあまり、力いっぱい踏み込んで行ってしまい、プレー中に滑ったり転倒して、ぶつかったりしていたのである。その後は皆同じで、転倒を恐れるがあまり消極的なプレーになっている。
現に桑原も「滑る」=「怖い」と感じたプレーヤーの1人だったのである。
では、プレーヤーはどのようなシューズを求めているのか?それは、たとえロングパイル人工芝であっても体育館やスポーツコートのようにしっかりとグリップし、思いっきりプレーできるシューズを求めているのです。 |
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| 桑原拓郎/ミズノ(株)技術開発部 |
桑原談:
まず、ロングパイル人工芝でなぜシューズが滑るのか?その理由を考えました。フットサルシューズには大きく分けてフラットタイプとスタッドタイプという2タイプのソールがあります。まずフラットタイプのソールの場合、シューズはグリップする際、ソールは人工芝の表面と摩擦するだけで、実際の芝のベース面まで届く事がほとんどありません。
つまり、芝の上にシューズが乗っているような状態なのです。これでは、シューズはグリップする事は出来ません。
では、スタッドタイプはどうでしょう?スタッドが芝に刺さるので、その分フラットタイプのソールよりもグリップは良いのですが、ロングタイプ人工芝では、芝自体にコシが無い為、シューズのスタッドが充分に引っかからず、プレーヤーの求めている充分なグリップ力は出せていませんでした。
ゆえにロングパイル人工芝において、しっかりとしたグリップ力を発揮するシューズ゙にするには、まずスタッドタイプのソールで、そのスタッド形状をより多くの芝とひっかかる事を考慮した設計にしなければならないと考えたのです。
毛足の長いロングパイル人工芝でもしっかり芝を捕らえ、且つ芝とのひっかかり面積を確 保できる形状が理想的なのです。
その形状を開発するにあたりまずは、既存の人工芝対応フットサルシューズの研究から進めました。ひとえに「人工芝対応」といっても、様々なスタッド形状のソールが世の中に存在しているからです。研究を進めるとスタッド形状は大きく以下の2つのタイプで、それぞれ特徴があることが分かってきました。 |
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当然、今回のモデルはグリップ性を考慮していますのでスタッド形状は(2)ブレード形スタッドを選択することになります。しかしブレード形のスタッドは特定の一方向以外の方向に対しては効果が劣るというマイナス面がありました。
フットサルのプレーはランニングのような単純な直線運動ではなく、フェイントやステップなど様々な方向への、動きである事からも単なるブレード形では、充分なグリップ力を与える事は出来ないことになるのです。
そこでフットサルのプレー中の動きを研究して行くと、プレー中の動きでは大きく2つの方向のグリップ性が必要である事が解りました。すると、おのずとスタッドの形状が導き出されてきたのです。
必要な2方向のグリップをカバーし、ブレード形スタッドの良い所を取り入れた「L字形スタッド」が。 |
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こうしてミズノが考える「人工芝対応モデル」のスタッドに関しては、「L字形」という方向性が決まったのである。でも、それだけでは終わらないのがミズノである。せっかく考案されたL字形スタッドも、デザインのみでソールを設計しては、まったく意味を持たない事にもなりうる。
 フットサルでは、トラップ、フェイントという代表的な動きは殆ど足の裏で試技され、プレーヤーも足裏でのフィーリングを重視する傾向が非常に強い。
つまりこのL字形を採用し、かつフットサルの競技特性としての「足裏でのボールタッチ」も考慮に入れたソールにするという事にまでこだわったのである。 |
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桑原談:
スタッドの形状だけでなく、その素材やスタッド配置にまで気を配りました。ソール材は、足の柔軟な動きに対応する為にラバーを用い、スタッド配置も足裏でのフィーリングを悪くしないよう、なるべく凹凸を避け、フラットに感じるように配慮しました。
この問題を解消すべく、L字形スタッドのサンプルシューズで何度と無く実履きテストを繰り返しました。スタッドをL字形にした段階で、ボールとの接触面積は円形やブレード形よりも多くなっている事もあり、スタッド配置も考慮した設計にした結果、グリップ性はもちろんのこと、足裏でのボールタッチフィーリングにおいても多くのテスターからボールを扱い易いとの声を得る事が出来たのです。そして、こうして開発されたロングパイル人工芝対応のソールを、ミズノが提唱するプレースタイル別のフットサルシューズに落とし込んでいったのです。 |
| こうしてプレースタイルのみならず、プレーする場所によってもプレーヤーが最適なフットサルシューズ選びが出来るラインナップが完成したのである。桑原は最後にこう続けた。 |
桑原談:
体育館でやってもロングパイル人工芝でやってもフットサルという競技の本質は変わりません。またプレーヤーのプレースタイルも変わらないはずです。プレーヤーがどこでフットサルをしようと、満足のいくプレーが出来るようサポートできるシューズの開発を今後も続けたい、と… |
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