スパイク編

バットに関しては、微妙なニュアンスでクラフトマンに要望を伝え、毎年変更を加えていった松井選手であるが、スパイクに関しては他の選手と比べても要望が少なかった。唯一の要望は「足入れ」がしっくりくること。そこでクラフトマンは足形に忠実なラスト(木型)を作り、毎年直接会って足入れの感覚を確かめることで微調整を施し、松井選手の求めるフィット感を実現したのである。さらに素材や構造はその当時の最新のものを提案することで、スラッガー松井選手の足下を支えてきたのである。

春名明弘

入団から引退までの全てのスパイクを担当したクラフトマン春名明弘の解説をもとに紹介。

1993年ー1995年 オーソドックスなモデル

アッパーはカンガルー革、ソールは革底、折り返しベロ付きのオーソドックスなモデル。

(製作エピソード)スパイクづくりの基本となるラスト(木型)を製作するため足形の測定をした際、他の新人と比べて身体の大きくがっしりとした印象を受けました。足のサイズも大きく、足底筋が発達しているため足囲の大きさには驚きました。

ラスト(木型)
単位(mm)
足長 284 285
足囲 307 296
足幅 124 121
甲周り 307 301

1996年 初めての9本歯モデル

「打・守・走」時に最も力がかかる箇所にスパイクの歯を配置した9本歯を採用(従来は6本歯)。ソールは革底。甲のフィット性能を高めるためミッドカットに。

1997年 MIZUNO WAVE搭載

9本歯スパイク形状に野球スパイクとして初めてMIZUNO WAVE搭載。ソールは金具埋め込み式。

1998年ー1999年 大きなモデルチェンジ

金属葉に加え樹脂歯のスパイクを製作。体調やグランド状況(天然芝or人工芝)による履き分けを提案。樹脂歯は金属歯より衝撃緩和に優れており、さらには金属歯のように地面に完全に突き刺さらないため、状況に合った適度なグリップ力を得ることが可能となった。足を包み込むように履き口とベロを一体化したインナーソック構造採用。アッパー素材をカンガルー革から人工皮革に変更。

2000年ー2001年 科学的なアプローチから生まれたモデル

MIZUNO WAVEプレートにチタンを融合させた新機能搭載。さらに、松井選手のバッティング時の動作解析(バイオメカニクステスト)を行ない足底にかかる力を分析。このデータをもとに左右非対称設計を採用。

※バイオメカニクス=力学、生理学、解剖学などの基礎知識を活用して、身体運動の仕組みをよりよく理解するための応用学。

2002年 日本最終モデル

フィット感、ホールド感を高めるためバイオメカニクス理論を応用したバイオロックストラップ装着(高強度素材ダイニーマテープ採用)。インナーソック構造。

松井秀喜スパイク

2003年 MATSUIロゴマークをデザイン

大リーグで「MATSUI」をアピールするためにリール上部にMロゴタイプをデザイン。所属チームカラーを意識した「ツヤ無しブラック」「ツヤ有りブラック」「シルバー×ブラック」の3タイプの配色を採用。

松井秀喜スパイク

2004年 軽量性をテーマに開発

グリップ力。フィット感はそのままに「軽量性」をテーマに開発。スパイク歯に初めてチタンを採用する等により、約45グラムの軽量化を実現。アメリカでもお馴染みの愛称「ゴジラ」の尻尾をモチーフにしたデザインをランバードライン上にプラス、厳しい戦いの中に遊び心を演出。

松井秀喜スパイク
松井秀喜スパイク
愛称ゴジラの尻尾をモチーフにデザイン

2005年 ラストの変更

アッパーデザインをルーフプラス(前足部のみミドルカット)に変更。それに伴いラストの形状を足指の捨て寸を短くすることで更なるフィット感の向上に。

松井秀喜スパイク

2006年ー2007年 ミドルアップカットモデル

アッパーデザインをミドルアップカットに変更。ソールは2005年モデルと同様。

2008年ー2009年 故障箇所のケアを追求したモデル

過去に捻挫した足首をしっかりとホールドするためにアッパーをハイカットに変更。ソールは膝のためにクッション性と安定性を両立したインフィニティウエーブを採用。バイオメカニクス解析データをもとにスパイク歯の位置を決定。さらには軽量化とグリップ力向上のためにスパイク歯の先端を2本に割れた形状に。

松井秀喜スパイク

2010年 チーム移籍

チーム移籍に伴い、アッパーの配色を変更。

松井秀喜スパイク

2011年 軽量、動き安さを追求したモデル

足首、膝の状態が良くなってきたこともあり、足首の可動領域を広げるためにアッパーはローカットに、軽量化のためにソールはフラットソールに変更。スパイク歯の先端に耐久性に優れた「超硬」合金を特殊溶接。
チーム移籍に伴い、アッパーの配色を変更。

松井秀喜スパイク

2012年 現役最終モデル

チーム移籍に伴い、アッパーの配色を変更。

松井秀喜スパイク

松井秀喜 使用用具のこだわり&全スペック ミズノクラフトマンの証言